Logo 53dd61093cf8d63d13b3d7524c42fb9bf7adba1c6679e7e2596fdfb6aca875c6

ポスト宮崎!アニメ界の2大巨匠「細田守」VS「新海誠」キミのお好みはどっち?

この記事にコメントする

細田守か、新海誠か。

日本のアニメは、世界トップレベルだ。素晴らしい作品であるアニメは、観客に感動と興奮を与え、そして大切なことを教えてくれる。

アニメの作品としての良し悪しは、ストーリー、キャラクター、声優の実力など様々な要素が絡み合って決まるが、アニメの監督の実力が作品の出来に大きく影響することは間違いない。

今回、紹介するのは現在日本のアニメ業界で最も注目され、国内外から高い評価を得ている2人の監督だ。

その2人、とは細田守氏と新海誠氏である。細田氏は、現在47歳。新海氏は42歳。世代も近いこの2人が、今後の日本のアニメ業界を牽引していくのは間違いない。

shutterstock_145905860

独自の演出で人々の心を掴んできた細田守

細田氏がフリーとなったのは2005年のこと。新海氏よりも歳上の細田氏だが、新海氏のほうがフリーになった(2000年)時期ははやい。

中学生の頃、劇場版『銀河鉄道999』や『ルパン三世 カリオストロの城』に衝撃を受け、劇場パンフレットに載っていた絵コンテを見てアニメーションの世界に強く惹かれたという。

中学3年の時にはコピー用紙を1000枚ほど用意して、飛行機がドンパチする約1分のアニメーションを製作し、校内上映もしていたそうだ。

大学卒業後、スタジオジブリの研修生採用試験を受けて最終選考に残るが、不採用。ただし、宮崎駿氏から「君のような人間を(ジブリに)入れると、かえって君の才能を削ぐと考えて、入れるのをやめた」という手紙を貰っている。

その後、東映動画(現 東映アニメーション)にアニメーターとして入社。1999年に『劇場版デジモンアドベンチャー』の監督に抜擢。

2000年には『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』の監督を務め、作品のクオリティの高さから多くの注目を浴びた。第18回ゴールデングロス賞優秀銀賞を受賞している。

ゲゲゲの鬼太郎』、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』、 『ONE PIECE』など数々の有名作品に参加してきた細田氏。彼の代表作品を主に取り上げ、その作風の魅力に迫っていこう。

筒井康隆の同名の作品を原作とした『時をかける少女』は、原作とは設定が大きく異なり、原作者の筒井康隆は「主人公が非常識すぎる」「突っ込もうと思えばいくらでも突っ込める」と批判しつつも、新しい時代の「時をかける少女」であると評価している。

というのも、原作が発表されたのが1967年、アニメ化されたのは2006年。原作の登場からアニメ化まで、実に40年の歳月を経ているのだ。

細田版「時をかける少女」は、タイムリープ(タイムスリップと同義)のようなSFよりも、青春を主なテーマとして取り扱っており、それゆえに高校生をはじめとする若い世代からの評価が高い。

高校生の淡い恋模様、友情にスポットをあてた完成度の高い作品に仕上がっている。

細田氏の作品の特徴は、作画に影が用いられていないことである。

「アニメのキャラクターではなく生きた人間として見て欲しい」という思いから、このような作画になっているそうだ。そのため、細田作品の登場人物は、ひとりひとりがただならぬ存在感を持っていることが特徴だ。

そして、「サマーウォーズ」。現在では、夏といえば「サマーウォーズ」と呼ばれるほどの作品となった。

つながり、がテーマである「サマーウォーズ」。細田氏が「当時既に両親を亡くし自らも一人っ子だったため、妻の親類の家族の繋がりに深い感銘を受けた」という経験が色濃く反映された結果である。

「時をかける少女」は男女3人で話が進むが、一方で「サマーウォーズ」は最終的には主要人物を含めて世界中の人々が関わる壮大なスケールで話が進む。

この作品の素晴らしいところは、普通の人でも世界を救える(変えられる)ということを教えてくれる点にある。

「劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」「時をかける少女」「サマーウォーズ」。どの作品にしろ、細田作品は夏という季節を上手に描く。

続いて紹介するのが、「おおかみこどもの雨と雪」

細田氏は、「おおかみこども」の設定を選んだ理由を、「子供が育っていったり子供を育てることは世間一般に当たり前のことと思われている。しかし当人たちにとっては全然当たり前ではない。その感覚を観客が共有するためには、誰もしていない経験(狼男の子どもを育てること)をみんなで共有すればいいと考えたからだ」と語る。

若くして2人の子ども、それもおおかみこどもをたった1人で育てることになった主人公の花。立ちはだかる子育ての壁を越えていく姿に、私たちは夢中になる。

また、花の声優をつとめた宮崎あおいの演技も素晴らしい。おおかみこどもたちに優しく語りかけるところが、特に良いのである。

細田氏は、主人公の声優に職業声優でなく俳優や女優を起用する傾向にある。

そして、最新作の「バケモノの子」。見どころは主人公・九太の成長と、熊徹との関係性。渋谷をはじめとする舞台を緻密に描く画力の高さにも注目だ。

現在、上映中の作品なのであまり多くは書けないが、劇場で観ることを勧めるこの夏の細田作品。

細田作品全てに共通するのは、結果的に明るい気持ちになれるということ。目の前の良いことも、悪いことも含めて前向きに生きようと思えるのである。

圧倒的な映像美、作品の美しさ。新海誠

続いて紹介するのが、新海誠氏である。大学卒業後、ゲーム会社である日本ファルコムに入社。『英雄伝説 ガガーブトリロジー』『イースIIエターナル』などのオープニングムービーを制作。

その傍らで自主制作アニメーションを制作し、1998年に『遠い世界』でeAT'98にて特別賞を、2000年に『彼女と彼女の猫』でプロジェクトチームDoGA主催の第12回CGアニメコンテストでグランプリを獲得した。

その2年後に、日本ファルコムを退社。新海氏が去ってからの日本ファルコムのゲームは、オープニングムービーのクオリティが圧倒的に低下したと言われている。新海氏が手がけた作品の素晴らしさが分かるエピソードだ。

2002年に公開した『ほしのこえ』は、監督・脚本・演出・作画・美術・編集などほとんどの作業を一人で行った約25分のフルデジタルアニメーション。

第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞し、当時実行委員会委員長であった石原慎太郎都知事は「この知られざる才能は、世界に届く存在だ!」と絶賛。

SFロボットが登場する作品だが、メインテーマは引き裂かれる男女の関係。男女のすれちがいを携帯電話のメールというツールで見事に表現している。

少し他作品のオマージュが強い気がするが、当時の自主制作のアニメとは思えないほどクオリティが高い。特に宇宙空間での戦闘シーンは圧巻だ。

新海作品としてはかなり初期のものであるが、この頃からどこか作品に儚げな雰囲気が漂っている。

3作品目の『雲のむこう、約束の場所』は、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』などを抑え、第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞。

津軽海峡をはさんで南北に分断占領された日本(パラレルワールドの日本)が舞台。同じ中学に通うひろき、たくや、さゆりの物語である。

前作の『ほしのこえ』は作品時間25分に対して、本作は91分。前作よりも圧倒的に作画のクオリティが向上し、音楽と作品とのマッチングも素晴らしいのである。

そして、新海作品として最も有名で評価が高いのが『秒速5センチメートル』

「桜花抄」、「コスモナウト」、ならびに「秒速5センチメートル」という短編3話の連作で描く構成で、主要人物である遠野貴樹と篠原明里の時間と距離の変化を丁寧に描いている。

『秒速5センチメートル』以降の作品は、これまであったSF要素が皆無であり、現実の世界を舞台としている。新海作品は、もともとその映像美が魅力であったが、作画のレベルはさらに向上しており、それが作品によりリアリティーを持たせる。

緻密に描かれた背景には、比喩表現が数多くちりばめられており、小説をそのまま映画にしたような雰囲気がある。

新海氏が映像美にこだわるのは「思春期の困難な時期に、風景の美しさに自分自身を救われ、励まされてきたので、そういう感覚を映画に込められたら、という気持ちはずっと一貫して持っている」という思いからである。

続いてが『言の葉の庭』。約8割が雨のシーンで構成されており、新海氏自身も「雨は3人目のキャラクターといっていいくらいウエイトがある」と語っている。

新海作品は、登場人物が自分の心情を小説のようにありのままに語る。それはあくまで心情であって誰かにぶつけるわけでもない。口にするわけでもない。男女が2人いれば、それぞれの心情を語るのだが、お互いが知ることはない。

だが、『言の葉の庭』は登場人物であるタカオとユキノがお互いの気持ちをきちんと口にして激しくぶつけあうシーンがクライマックスで登場する。そのやり取りが、新海作品にしては珍しく熱いシーンなのだが、前述の雨がいい具合にそれを打ち消して爽やかなものにしている。

他にも新海氏はCM等の映像をいくつか手がけている。新海氏の魅力は、短編映画でこそ発揮されるのかもしれない。

彼の作品は、コンマ1秒の一瞬のシーンを切り取っても完成されていて、全ての映像が観客の心に常に問いかけてくるのだ。

個人としては、細田守氏と新海誠氏の作品は対極に近い存在ではないかと考えている。

細田氏の作品は、大勢の友達と楽しみたい作品。そして、その作品の感想を誰かに言いたくなる。

新海氏の作品は、ひとりで愉しみたい作品。その感想を自分の心の中で言葉にして、納得する。

日本のアニメ業界を牽引してきたジブリの宮崎駿氏は、もう第一線を退いている。彼の後継者、とひとくくりに扱ってしまうのはクリエイターである細田氏と新海氏に失礼かもしれないが、多くの日本人が「ポスト宮崎」の出現を待ち望んでいるのは事実だろう。

偉大なる才能を持った2人が、今後どのような作品をこの世の中に送り出していくのか、楽しみは尽きない。

2015/07/16

Logo 53dd61093cf8d63d13b3d7524c42fb9bf7adba1c6679e7e2596fdfb6aca875c6

Scroll btn b7b0a99d7f8504053fadef9a662611d4469b8039cd15d71f14e5b6a1cf11cfa1